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阪部慎太郎 Shintaro Sakabe
​指揮者

ハノーファ・ノイエ・フィルハーモニー管弦楽団

​文化パルク城陽プラムホールにて

​©️ Roland Hagenberg

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+プログラムノート+

オーストリアの首都ウィーンで1月1日に開催される、シュトラウス家の作品が演奏されるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートはクラシック愛好家には大変有名で、ヨハン・シュトラウスの楽曲といえばお正月の風物詩となっています。
シティフィルの前回7月のコンサートで演奏したモーツァルトやベートーヴェン、今日演奏するブラームスなど多くの作曲家がウィーンで活躍したことで、ウィーンは現在も「音楽の都」と呼ばれています。
モーツァルトはザルツブルク生まれ、ベートーヴェンやブラームスは現在のドイツ生まれで、意外と生粋のウィーンっ子の作曲家はあまり多くありません。
ヨハン・シュトラウス2世は生粋のウィーンっ子の作曲家・バイオリニストで、1825年ウィーンのザンクトウルリッヒという地区で生まれました。
今では、このヨハン2世が「ワルツ王」と呼ばれますが、彼の父ヨハン1世が生前「ワルツ王」と呼ばれており、長男ヨハン2世のみならず、次男ヨーゼフや四男エドゥアルドも音楽家となりました。
本日はオペレッタ「こうもり」から劇中のワルツ、ポルカやアリアなどの美しいメロディーが次々と登場する序曲を、3分程の軽快なトリッチ・トラッチ・ポルカ (ポルカはチェコの民族舞曲)、「美しく青きドナウ」などと並び3大ワルツに数えられる皇帝円舞曲を演奏します。
ウィンナワルツのリズムは独特でなかなかの難易度でしたが、本日前半はヨハン・シュトラウスの世界に浸って頂ければ幸いです。
19世紀の同時期にウィーンで活躍したヨハネス・ブラームスは、ヨハン・シュトラウス2世とは音楽の趣きは正反対のようにも感じますが、意外や二人には親交があり、シュトラウスの別荘を訪れるほど親密でした。
本日演奏します交響曲2番は、南オーストリアのベルチャッハという美しい自然に囲まれた街に滞在し、約三ヶ月で ほとんどを書き上げ、翌月に完成させました。
ブラームスは大変慎重な性格であったため、最初の交響曲である1番は、着想から完成までに二十年あまりの年月をかけました。
その翌年に1番とは比べられない程の短期間で作曲しましたが、1番を完成させたことで重圧から解放され、またペ ルチャッハの美しさからインスピレーションを得た事からの穏やかで明るい楽想だけでなく、自ずと二作目の交響曲と して深みも増したところなど、 この曲の魅力であり、ブラームスの真骨頂だな、と感じます。
ぼくが以前ドイツで勉強をしていた時期、住み始めて6~7年ほど経った頃に初めてオーストリアへ少し勉強しに行く機会を得ました。
ドイツ語も話せるようになり、ドイツでの生活やドイツ人の気質、性質にもやっと慣れてきたと感じ始めた時期です。
方言は置いといて同じくドイツ語を話す国オーストリアですが、同じ言語だからこそ何かちょっとした違いを感じましたし、同質のようで同質でない、別の国として成立しているのだな、と大変新鮮に体感しました。ぼくが住んでいたハノーファーは、ブラームスが生まれたハンブルクか ら近く、ブラームス自身も活躍していた北ドイツの都市です。
ブラームスも住み慣れた北ドイツから大都会のウィーンに移った時に、そんな感懐を覚えたのかなと、ちょっと追体験した気持ちを思い出しました。

(文、 阪部慎太郎)

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