「Storkhouse」は、オーストリア政府観光局より最優秀革新賞2014を受賞しました。
Storkhouse | Past Events and Works | Raiding Project | Harahouse
Photo:Roland Hagenberg
日本で最も影響力のある建築家であり建築史家である 藤森照信。
木材、葦、藁、炭、銅、粘土、石...自然素材を用いる彼のスタイルには日本古来の文化・歴史が通底しています。そんな彼の作品が『鸛庵』。2009 年から作曲家フランツ・リストの生誕地として知られるオーストリアの小村ライディングで 数人の著名な 日本人建築家によって進めてられてきた『Raiding Project』の最初の具体的建築物です。 『鸛庵』は、茶室のにじり口などの日本様式を取り入れ、芸術作品で ありながら実際に宿泊できる建物。さらに、屋根の上方に本物のコウノトリの巣が設けられ、夏になるとアフリカからやってくるコウノトリといっしょに暮らすことができます。
Raiding村へようこそ。いらっしゃいませ…。
ウィーンの南80kmに位置するライディング村。
オーストリア・ブルゲンランド地方にある人口約 860 人のライディング村。ウィーンから車で南 に 1 時間ほど走ったところにある小村だ。周りはブラウフランケシュのぶどう畑が連なる、ワインストー リーや歴史を辿って、ローマ街道へ続く琥珀ロード、第 2 世界大戦後の鉄のカーテンと呼ばれた残像もある。 夏のサマーバケーションには数々の音楽イベントが開催され、世界中の音楽ファンが集う。ハンガリーから、車で15分程、コウノトリ飛来エリアに近く、この豊かな自然と歴史が息づく。 また、作曲家ヨーゼフ・ハイドンも近くで生まれた。
生家の隣に600席のモダンなコンサート・ホールが建設されました。 ライディング村は、東西ヨーロッパの中間に位置しています。1683 年まで、 ライディングやウィーンに進攻していたオスマン帝国軍が、ヨーロッパ征服を断念したのがその地です。またローマ帝国の時代にさかのぼれば、ローマ人も自国を守るための前哨地をこの地に置いていました。今もライディング村では、かつてローマとスカンジナビアを結んでいた琥珀の交易路 “アンバー・ロード” の一部を 見ることができます。
Storkhouse
鸛庵(こうのとりあん)へようこそ。
鸛庵(こうのとりあん)正面、にじり口風出入り口
鸛庵(こうのとりあん)の近郊
人口約850名のライディング村では、フランツ・リスト音楽フェスティバルが毎年4回、開催されています。Raiding Projectは村における重要な文化事業であり、村の人々が自ら建築面での支援を行っています。
llustration by Aya Yamaguchi
2010年完成
リストコンサートホールとフランツ・リスト生誕の家
(現在は美術館)
「鸛庵」は2階建て、総床面積34平方メートル。1階の多目的リビング・ルームには、キッチン、シャワー、トイレ、暖炉。2階は1階の1/3の床面積で、日本式に布団を用いる寝室です。1階から2階の寝室を貫き、そのまま空に突き抜けるブナの柱が北方の角を支えます。この天井の高さは7メートル以上。真っ白な天井と壁に、藤森が散りばめた炭(焼杉)は、雨粒をイメージさせます。屋根から突き抜けた柱は、そのまま13メートル上空に設えられた鸛の巣の台座となっています。ライディング村が位置するオーストリアのブルゲンランド州には、日本の伝統的家屋のそれにも似た草葺きの屋根が存在しますが、「鸛庵」の屋根にもそのスタイルが採用されました。ファサード(正面)には焼杉の塀があしらわれていますが、これは一枚一枚、藤森とハーゲンバーグが日本の伝統的手法に則って、手仕事で焼いたものです。両サイドには屋根付きのテラスがつけられています。
消防士さんによるコウノトリの 巣の中を清掃、消毒。
来年に飛来するための準備作業として…。
鸛庵(こうのとりあん)について: 三菱地所アルティアムにて展覧会模様 2014年4月